「ごはん・お米とわたし」作文図画コンクール 「思い出のおにぎり」

思い出のおにぎり

布津中学校 三年
松尾 優里

 

 もし今日が人生で最後の夕食だとしたら、皆さんは誰と一緒に何を食べたいですか。ハンバーグ?ステーキ?オムライス?きっととても迷うことでしょう。しかし、私は決まっています。この想いは忘れることも変わることもありません。10年間変わったことがありません。私は曽祖母とおにぎりを食べたいです。

 10年前…私が4歳だった頃の夏休み。曽祖母と扇風機の風で涼みながら、アイスを食べていた時のことです。
「ねぇねぇ、ひいばあちゃん。もし、今日の夜ごはんが最後の夜ごはんだとしたら……ひいばあちゃんは誰と一緒に何を食べたいなって思う?」
と聞きました。すると曽祖母は少し困った顔をした後、私にほほえみながらこう答えてくれたのです。
「うーん……。そうだねぇ。私はやっぱり、ゆうちゃんと、おにぎりを食べたいなぁ。」
想定外の答えが返ってきて目を丸くする私を見て笑っている曽祖母。
「最後の夜ごはんだよ。おにぎりでいいの?お肉とかじゃないの?私はお肉がいいなって思ってたんだよ。」
私と一緒に食べたいと言ってくれたのは嬉しくて、理由を聞くのは恥ずかしくて聞けなかったけれど、曽祖母の『おにぎり』という答えの理由は気になって仕方がありませんでした。すると曽祖母は、
「今は好きな物を好きなだけ食べられるけど、昔の戦争の時はそうじゃなかったんだよ。真っ白なお米は貴重でなかなか食べられなかった。だからお米を食べる時はあの頃を思い出すんだよ。あんな戦争はもう二度とあってはならないけど、そんな暮らしを経験していなかったら、こんなに感謝して食べていないだろうし、今の私もいないだろうと思うよ。あの日々があったからこそお米のありがたさを今も感じる。何を食べるよりお米を食べる時が幸せを感じる。だから白米のおにぎりを最後は食べたいと思うよ。」
と、涙がこぼれ落ちそうになりながらもほほえんで教えてくれたのです。その日に曽祖母と食べたでんぶのおにぎりはいつもよりずっとおいしく感じたことを今でもはっきりと覚えています。その時から私も、最後の夕食は曽祖母とおにぎりを食べたいと思うようになりました。そしてその思いは変わらず私の胸にあります。

 ひいばあちゃん。聞こえていますか。ひいばあちゃんが天国に行ってしまった今でも、私は最後の夕食はひいばあちゃんとおにぎりが食べたいと思っています。ひいばあちゃんは戦争時の生活がお米に感謝する気持ちにつながったと言っていたけど、私はひいばあちゃんが教えてくれたから、ひいばあちゃんがいたから、お米に感謝する気持ちがあると思います。お米と私をつないでくれてありがとう。ひいばあちゃんの最後の夕食、一緒におにぎりを食べてあげられなくてごめんね。おぼんにはひいばあちゃんに私がおにぎりを作って持っていくね。