「祖父へ、いつもありがとう」
諫早市立長田中学校 2年
大樂 伊織
私の祖父はあと少しで八十歳をむかえる。それなのに祖父は、少しの間休息をとったらすぐに田んぼに向かう。休んでいるのが落ち着かないらしい。まるでマグロのような人だと少しあきれた口調で祖母は時々つぶやく。
小学校五年生になった頃の話だ。長田小学校では五年生になると、総合の学習でお米づくりをする。普通のお米ではなくもち米だ。苗植えから脱穀以外の作業をすべて手作業で行った。もちろん田植えもだ。そこまで広い田んぼではなかったし三十人以上で一斉に作業すればそこまで大変ではないだろう。そう甘く見ていた自分がいた。
いざ、実際にやってみると田んぼは思った以上にぬかるんでいて足は自由に動かすことはできなかったし腰も痛かった。バランスをくずして尻もちをついている友達も何人かいた。私は自分が年を重ねてしまったような気がした。まだ十一歳の頃の私でも腰が痛かったのだから祖父たちもよっぽどだろうと思った。今は、手作業ではなく機械を使っている家庭が多いはずだ。しかし機械ではできない端の部分などは祖父と祖母の二人だけで手作業でやっている。三十人以上でもきつかったのに二人だけとなるとどれほどきつくて大変なのだろう。私には想像がつかないほど辛い。祖父と祖母はよくロキソニンテープなどを張っている。その姿を見るたび「そこまでして作ってくれているなんて…感謝しきれない。」と思う。こんなに辛く苦しい作業を私たちの年齢よりもはるか上、いや倍以上ある祖父たちが汗を流し、体を痛めながらもがんばってくれているのだ。私は感謝の言葉だけでは足りないと思う。祖父はどうしてこんなに辛い百姓仕事を続けられるのか疑問に思った。だから確かめるために聞いてみたことがある。
「収穫できたときの嬉しさもそうやけど、一番は家族の食事を支えるのが俺の仕事やっけんがやろうね。」
と答えてくれた。その言葉を聞いて家族のことをちゃんと考えて働いてくれているんだなぁと思った。
ごはんを食べて私が「おいしい!」と言うと祖母も祖父も嬉しそうな顔をする。その顔が私は好きだ。この感謝をしきれないならしきれないなりに自分の「おいしい!」という言葉を素直な気持ちで伝えていきたいと思う。毎日家族みんなでこうしてごはんが食べれるのはみんなのおかげであることを忘れず感謝の気持ちを持って食べていきたい。
「今日もおいしいごはんをいただきます!」