長崎県農業協同組合中央会会長賞Ⅱ部「ただいま、おにぎり練習中」

「ただいま、おにぎり練習中」

大村市立竹松小学校 四年

 川上 朱莉

 「いただきまぁす。」

弟の元気な声で昼ごはんを食べ始める。

夏休み、母は仕事なので毎日二年生の弟と二人だけの昼ごはん。今日もホカホカのおにぎり、たまご焼き。今のところ私が弟に作ってあげられるメニューだ。おにぎりが少しくずれそうでも、たまご焼きがしおからくて失ぱいしても「おいしい」と言ってよろこんでいる弟を見ると、作ってあげてよかったと思う。

私が作るおにぎりは、中に具を入れても入れなくてもボロボロで具がはみ出てしまう。いつになったら上手ににぎれるのかな。

平戸のそ母のおにぎりは、きれいな三角形でしお加げんがちょうどいい。いつか作る様子を見た事がある。まず手を冷たい水で冷やして、しおを両手に広げて、あっという間にきれいな三角に仕上げる。ホカホカのお米をす手でにぎってあつくないのかと思った。

「あつくないの?」とそ母に聞くと、

「あついけどたき立ての方が、ふっくらしておいしいおにぎりになるよ。でも、お弁当の時は、ラップでにぎるんだよ。」と教えてくれた。

母のおにぎりは具がたくさん入っている大きな丸いばくだんおにぎりだ。作る様子を見ると、ラップをしいてごはんを広げ、そこに具をのせていく。時には、五種類くらいのたくさんの具を入れてくれる。私の好きなツナマヨ、こんぶ、しゃけ、おかかと少し苦手な梅干し。のりの代わりにとろろこんぶがまいてある。だからどこから食べても具が口に入っておいしい。しかも、大きいから一つ食べるとおなかいっぱいになってしまう。

そ母も母も同じようなことをいつも言う。

「おいしい食事を作るためには、食べてくれる相手を思い、お米や野さいを作る農家さんへの感しゃの気持ちを忘れないこと。」

弟に、昼ごはんを用意する時この事を思い出す。

このお米は五島のそ父母が作ってくれた物

「おじいちゃん、お米そろそろ無くなるから送って。」と電話するとすぐ送ってくれる。

以前、住んでいた所で棚田オーナーになった事がある。なえ作り、田植え、草取りを家族でやった時、お米ができるまでの苦労がよく分かった。だから五島の祖父母には感しゃしている。

まだまだ私のおにぎりはきれいな三角形にはならないけど、だんだん具がはみ出なくなったからうれしい。少しずつおにぎりを作るコツを覚えてきたような気がする。いつか五島に行った時、そ父母にも私のにぎったおにぎりを食べてもらいたい。