JAながさき西海と佐々町の認定農家は、佐々町と協力し高齢化による労働力不足や、後継者不足解消を目的とした労力支援組織「さざんか農援隊」を設立し成果を挙げています。
この農援隊に利用登録されている農家は、主にイチゴ、トマト、茶、畜産を経営。作業員は1戸につき月2~4日農家に通って作業をし、周年で雇用できる体制をとることができています。今年で9年目を迎え、登録者数10人、作業員2人となり、作業員のなかには農援隊に雇用された後、新規就農につながった人もいます。
佐世保市江上町でイチゴの生産者として活躍している高岸智宏さんもその1人。高岸さんは平成27年5月に佐々町の農援隊に雇用され、雇用期間終了後にイチゴ農家で1年の就農研修を経て、平成29年4月に同市江上町で新規就農しました。
前職は金融会社に勤めていましたが、自分で物作りをしたいという思いと、元々農業に興味もあったため、妻の地元でもある佐世保市の就農相談窓口に相談したところ、何回もの話し合いの結果イチゴ農家にたどり着き、県や市の担当者の勧めもあり農業の勉強を兼ねて作業員として農援隊で勤めることになりました。
高岸さんは「農援隊作業員は、いろいろな農家を回って作業する為、普段できないたくさんの経験ができ、体力的にも精神的にも鍛えられた」といい、「農援隊での勤務を終えて5年が経った今でも相談に乗って頂いたりと交流を続けている。就農地は離れているが、本当に心強い存在」と期待を寄せています。
現在、高岸さん夫婦は農繁期にパートを雇い、作付面積13㌃のイチゴを栽培。年間約2万2000パックを出荷しています。
今年は植え付け方法を試験的に変えてみるなど常に研究。今後は作業効率を上げ、面積拡大・収量アップを目標としています。
これまでに高岸さんを含め4人が作業員の期間を経て、新規就農しています。今春からは新たに1人が就農を目指し就農研修に入る予定です。
農援隊の組合長を務める辻藤志郎さんは「次世代の担い手育成も私たちの仕事。農援隊組織は労働力不足解消と、就農へのサポートもできる体制のため、就農を希望している人や農業に興味がある人など多くの人に利用してもらえたらと思う。今後、より一層充実した組織となるように他地区の農援隊組織とも連携を図りたい」と話しています。